公認会計士高橋正哉の実践ブログ

企業のビジョン達成を社外CFOの立場から実現する一方で、独立会計士又は上場企業の社外役員として自らも経営の一旦を担う筆者が、会計・財務の専門分野に限らず、日々の活動から、企業経営や自己成長のヒントとなるような事項・想いを素直に、ありのままに、お伝えすることを目的として綴っているブログです。

2014年06月

ASBJ(企業会計基準委員会)は2014年5月30日に適用後レビュー:IFRS第3号「企業結合」の回答の提出を公表しました。

当該回答は、IFRSに関係する方々(利用者・作成者・監査人)だけではなく、日本においても実務がある程度成熟している米国会計基準に関連する方々(利用者・作成者・監査人)も交えて議論された結果のようです。

この中の "のれん"の償却/非償却に関する回答のポイントを見てみましょう。

【主な概要】

大多数の回答者は、企業結合により取得したのれん(以下「取得のれん」という。)は時の経過に伴い費消され、自己創設のれんに置き換わっていくと考えており、取得のれんの非償却は企業結合後の取得のれんの経済的実態を適切に表すこととなっていないとの見解であった。したがって、彼らは、企業結合後の収益と費用の対応を図るために、取得のれんの減損テストを維持しながら償却を再導入すること(以下「償却及び減損アプローチ」という。)を提案している。

一方で、何人かの回答者からは、現行の「減損のみのアプローチ」は、意思決定に有用な情報及び経営者の受託責任を充足するための情報を提供できるという点からよく機能していると述べている。詳細は本コメントレターの第36 項から第44 項を参照していただきたい。

現行の日本基準の立場(償却及び減損アプローチ)を取っているという見方もあるかも知れませんが、私も「償却及び減損アプローチ」に賛成です。

【詳細(36項~44項)から本質を突いていると考えられる点を抜粋】

  • 数人の利用者は、・・・企業結合後“のれん”が償却されなければ将来の利益に対応するコスト(つまり、企業結合への投資)が認識されないため、取得企業は利益を二重に計上する結果となると考えている。さらに、彼らは、ひとたび被取得企業の業績が悪化すると、それによりその投資に対する減損損失の発生により業績がさらに影響を受け、業績悪化の負のスパイラルに陥ることになると指摘している。(40項より)
  • 多くの企業は、のれんは時の経過に伴い費消し、自己創設のれんに置き換わっていく資産であると感じている。したがって、のれんは定期的に償却し取得対価の一部としてのれんから発生する収益に対応させるべきだと考えている。それは、企業の利益は、投資したコストを上回ったものであるとする見方とも整合している。のれんが企業結合後の期間で償却されない場合、取得のれんが時の経過に伴い減価していく経済的実態を財務諸表に適切に表すことができないと考えている。(41項より)

買収価格の算定方法にインカムアプローチ(DCF法)を採用している場合には、結果として算定される”のれん”は、いわゆる「将来の利益を先食いしたもの」というのが現場の感覚ですから(特にベンチャー企業を買収する場合)、そうであれば獲得した利益に対応させて償却していくのが、企業価値算定の手法とも整合しますし、マネジメントの感覚とも合致していると思います。
 

最近、初めて「成功恐怖」という言葉があることを知りました。

 

何人かとこの事について話をしてみると、この言葉に全く共感できない方と、ドキッとする方、両方がいらっしゃるみたいです。

 

自分は後者。

 

初めてこの言葉を見た(聞いた)時、過去のあの時の経験がまさしくそうだな、と思いました。

 


明確な理由を持たずに人に勧められる形で始めた会計士の勉強。

 

受験勉強を開始したのが、大学の4年生の半ばですので、あと半年で無職の身という状況でした。また、サラリーマンになるのもいやで(正確にはその勇気がなかった)、後がないということで必死に勉強しました。

 

結局、3年ほどで運良く合格できたのですが、

合格する年の論分式試験の直前に急に「恐怖」という感情が湧き出てきました。

 

正直焦りました。自分でも訳が分かりませんでした。

 

3年間、友達や社会などとの接点をほとんど断ち切り、もうこれ以上勉強するのは無理・限界という状況だったわけで、早くこの状況から抜け出したい、と考えていたにもかかわらず、「恐怖」という感情がめばえたから。
 

 「成功恐怖」とは少し違いますが、転職する時も独立する時も良く似た経験をしました。

 

 

人間には、成功より危機が心地良い、というような感覚があるそうです。

 

このメカニズムって一体何なのでしょうか?

 


自分なりに分析してみると

 

目標に向かって頑張る⇒苦労や問題がたくさん起こる⇒成長している実感⇒周りからも「頑張ってるね」と評価される⇒成功が近づく⇒現実が目の当たりになってくる⇒新しい世界や未知の世界⇒公になるというプレッシャー⇒責任の増大⇒失敗した時のリスクの増大⇒成功したくない

 

というような流れではないかなと思います。

 

では、「成功恐怖」を解消するためにはどうしたら良いか?

ここは自分自身もすごく知りたいところです。

 

現状の理解では

  1. 成功しても良いことを、自分の感情レベルで納得する。
  2. 夢を大きく持つ。夢が大きければ、ほとんどの「成功」が通過点に過ぎない。
  3. 成功しなければならない、とても大きく明確な理由、を持つ。

というところではないかと。

 

もう一つ忘れてはならないのが(意識の高い方々は皆このように言われてますが)、「恐怖」と「不安」の先に大きな未来(価値)があるということ。

 

お互い、大事だと分かっているなら、いい加減向き合おう


そろそろ自分の夢や目標と真剣に向き合ってみようと思います。

 

PCAが平成26年3月期の連結財務諸表にIFRSを自主適用(監査は受けていない)しました。

平成26年3月期(第34期)国際財務報告基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の自主適用について

当社は、平成263月期(第34期)の連結財務諸表について、国際財務報告基準(IFRS)を自主適用し、自社ホームページにて開示いたしましたので、お知らせいたします。

当社は会計ソフトの開発及び販売を行っており、IFRSの対応に向けて会計ソフトの開発を行っております。そこで、自社でもIFRS連結財務諸表を作成することにより、会計ソフトでの対応が必要な点を確認し、今後のソフト開発に役立てることを目的としてIFRS連結財務諸表の作成及び自主開示をすることといたしました。

なお、当該連結財務諸表は自主開示目的で作成したものであり、法令等に基づく開示書類については、今後も日本基準に基づき作成いたします。


なお、平成26年3月期だけでなく、ずいぶん前(平成22年3月期)の年度の分もIFRSを自主適用しているようです。

平成22年3月期~平成25年3月期のIFRS自主適用 

知りませんでした。

どうせなら、IFRSの任意適用(監査を受ける)という形をとった方が、認知されやすいので、ビジネス的にも良いのではないでしょうか。

そーせいグループ株式会社が平成26年6月25日付でIFRSによる有価証券報告書と決算短信(2013.5.13に日本基準のものは一旦開示済)を開示しました。

有価証券報告書(IFRS)
決算短信(IFRS)
国際会計基準 (IFRS) の任意適用関に関する2014 年3月期 決算補足説明資料

日本基準からIFRSへの移行により、組替修正はいくつかあるものの、のれんと開発費の資産計上が組替修正金額のほとんどを占めており、面白いくらい業績が変わっています。

日本基準では

売上高    20億円
当期利益  △1億円

に対して、IFRSでは

売上高    20億円
当期利益   15億円

これほど違うのであれば、マネジメントの立場からはIFRSを適用するというのも頷けますね。

前置きはこれくらいにして、

IFRS導入に携わっている立場から気になった点をいくつか挙げてみましょう。

❑IFRS開示の全体像を把握するためには最適なモデルケースではないか。
現在までにIFRSを任意適用している企業は、規模が大きく(かつ複雑な取引も多い)ため、有価証券報告書が複雑かつ大分量になりがちで、なかなかIFRSの開示に関する全体像を把握するのが難しいというのが正直なところではないでしょうか。しかし、そーせいグループはビジネスがシンプルかつ規模も小さいため、同社の有報はIFRSの開示の全体像を把握するのに最適ではないかと思います。

❑有価証券報告書の分量の増加
2013年3月期の連結財務諸表(日本基準)では17ページの分量だったのに対して、2014年3月期の連結財務諸表(IFRS)では35ページの分量と、およそ2倍になっています。規模が小さいとはいえ、IFRSでは会計方針の記載など定性的な箇所の文章がどうしても多くなってしまうので、この辺りはやむを得ないですね。

❑監査報酬等の増加具合
同社は従業員が30人程度であり、経理関係の社内リソースは決して多くないと思われ、監査法人等の外部にある程度リソースを求めざるを得ないと推測しますが、監査報酬は24百万円から41百万円と17百万円の増加で、被監査業務(IFRS)の報酬は6百万円と、実質23百万円のコスト増で乗り切っています。※ 監査法人以外の外部コンサルが入っているかも知れませんが、それは不明。

上記のほかで気になったのは

のれん減損の感応度分析がなされていないと思われること

回収可能価額がのれんの簿価を大きく上回っているなどの状況のため「重要性なし」と判断されているのかもしれませんが、のれんの償却(日本基準)⇒非償却(IFRS)により、ここまで業績が変わるのですから、

投資家にとって有報な情報を提供するという意味でも

開示して欲しかった事項ですね。

金融庁が、平成26年6月25日付で「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表しました。平成26年7月25日まで意見を募集し、8月下旬に公布・施行する予定のようです。

改正の主な内容は以下のとおり。

1)新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数短縮

昨年12月に公表された金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書の提言を踏まえ、有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数を5事業年度分から2事業年度分に短縮するよう改正を行います。

 

2)非上場のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表の年数

IFRSの任意適用に係る要件の緩和により、非上場会社であってもIFRSに準拠した財務諸表の作成が可能となったことを踏まえ、非上場会社が初めて提出する有価証券届出書にIFRSに準拠して作成した連結財務諸表を掲げる場合には、最近連結会計年度分のみの記載で足りる旨の改正を行います。上記のほか、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」を改正し、IFRSに準拠して作成した連結財務諸表の監査における、比較情報に係る意見表明の方法を設定するなど、所要の改正も行います。

(1)は以前から出ていた検討課題ですが、(2)は追加で出てきたものでしょうか。

(1)について
5年分⇒2年分への財務諸表(特別情報の記載)の作成年数短縮は実務工数の削減という意味で結構大きいです。良い施策です。ただし、ハイライト情報では5年分(連結は2年分のみ)必要。

(2)について
連結財務諸表の開示が比較情報を含む最近連結会計年度のみで良いということであれば、IFRS採用のモチベーションも上がりますし、一石二鳥で良いですね。

解説サイト
新日本監査法人のサイト


平成26年6月24日、「日本再興戦略」改定2014が閣議決定されました。

詳しくは首相官邸websiteより

「新たに講じる施策」のうち、当ブログのテーマ(上場企業、会計・税務、ベンチャー等)に関連する内容は以下のとおり。
1.コーポレートガバナンスの強化等

「コーポレートガバナンス・コード」の策定

❑東京証券取引所が上場企業のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」(※) を策定することを支援 【2015年半ば(株主総会シーズン)までに策定

 (※)コーポレートガバナンス(企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み)に関する基本的な考え方を諸原則の形でまとめたもの。 東証の上場規則により、原則を実施するか、実施しない場合にはその理由の説明を求める

●金融機関等による企業に対する経営支援・事業再生の促進

❑融資先の経営改善・生産性向上・体質強化支援等の取組や事業性を重視した融資を金融庁の監督方針等により促す。

❑企業再生に関する法制度や実務運用の在り方の見直し 

  
3.ベンチャー・創業の加速化

●「ベンチャー創造協議会(仮称)」の創設

❑ベンチャー企業と大企業のマッチングを促すため、「ベンチャー創造協議会(仮称)」を創設  【2014年秋目途に創設】 

●政府調達におけるベンチャー企業の参入促進等の支援

❑官公需法を見直し、創業間もない中小ベンチャー企業の政府調達への参入促進 【本年度中を目途に諸制度を整備】

❑創業に伴う生活の不安定化の懸念の解消(求職活動中に創業の準備・検討を行う者に対する雇用保険給付の取扱の明確化) 【速やかに実施】 


4.成長志向型の法人税改革


❑数年で法人実効税率を20パーセント台まで引き下げることを目指す。

❑引下げは、2015年度から開始

❑アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含めて、2020年度のPB黒字化目標との整合性を確保するよう、課税ベースの拡大等による恒久財源を確保。 【年末に向けて議論を進め、具体案を得る

❑実施に当たっては、2020年度の国・地方を通じたPBの黒字化目標達成の必要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。
 

6.女性の活躍推進

有価証券報告書における役員の女性比率の記載を義務付け2014年度内に実施

コーポレート・ガバナンスに関する報告書に、役員、管理職への女性登用状況や登用促進に向けた取組を記載するよう各金融商品取引所に要請2014年度内に実施】  

法人実効税率の引き下げに伴う、恒久財源の確保については、年末に向けて具体案を策定ということなので、ここは注視ですね。



経営財務 2014年6月23日 3168号より

企業会計基準委員会(ASBJ,小野行雄委員長)は6月18日,第5回税効果会計専門委員会を開催した。今回のテーマは,「繰延税金資産の回収可能性」(監査委員会報告第66号)。5つの例示区分や,将来の合理的な見積可能期間など66号全般に関わる論点を議論した。指摘されている課題は次の4つ。「例示区分の撤廃案」,「区分の分類方法見直し」,「将来の合理的な見積可能期間の見直し」,「区分の分類で用いられる用語の明確化」。これについて,ASBJは3つの案を提示した。

経営実態を適切に表しているかというと、決してそうとは言えないものの、実務にしっかりと浸透しきっている監査委員会報告第66号を見直す議論が進んでいるようですね。

案1)66の内容を引き継がず,例示区分自体を廃止する 
案2)例示区分は用いるが,内容を見直して新たな区分を設定する 
案3)現行の例示区分をそのまま利用,将来の合理的な見積可能期間を見直す

この3つの案が提示されており、個人的には「案1」の廃止が良いと思います。

なぜかと申しますと

監査委員会報告66号は一言でいうと、「繰延税金資産の回収可能性を判断するにあたって、将来の課税所得を見積もるための指針」であり、

どこまで行っても、(将来のことであるため不確実性が高いもの。

であれば、IFRSと同様に課税所得の見積りに関する詳細なガイダンスを設けず、IFRSと日本基準とのGAAP差異を取り除くというメリットを取った方が良いのではないかと思うのです。

「案2」や「案3」のように調整を行ったとしても、議論した結果として出来上がった新しい指針が、より経営実態を表す形で「変わり映え」したものになるか、少々疑問であり、

委員の方々の苦労も報われない気がします。

もちろん、66号を廃止(案1)した年度は現場が混乱を極めるのは間違いないと思いますが、程度の差はあれ、混乱が生じるのは「案2」や「案3」でも同様ではないでしょうか。
 

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