公認会計士高橋正哉の実践ブログ

企業のビジョン達成を社外CFOの立場から実現する一方で、独立会計士又は上場企業の社外役員として自らも経営の一旦を担う筆者が、会計・財務の専門分野に限らず、日々の活動から、企業経営や自己成長のヒントとなるような事項・想いを素直に、ありのままに、お伝えすることを目的として綴っているブログです。

カテゴリ: ファイナンス

複利で物事を見ていくと、

10年後にはとんでもないことになります。

実際に見てみましょう。

例えば、

現在の売上が1億円とします。

仮に、

年30%成長を続けた場合、

10年後の売上高は13.8億円となります。

(これはこれで
 凄いことですが…)

一方、

年40%成長を続けた場合、

いくらになると思われるでしょうか??


・・
・・・
・・・・
・・・・・


年成長率10%(40%-30%)の違いです。


・・
・・・
・・・・
・・・・・

実は、

10年後には28.9億円になります。

(もったいぶる話では
 ありませんね、すいません)

年成長率10%(40%-30%)の違いで

10年後には2倍以上の差
(28.9億円÷13.8億円=2.1倍)

に拡がるのです。


複利の効果というのは

思った以上に大きいのではないでしょうか。


ちなみに、

これを1ヵ月単位で考えると

30%/年 ⇒ 2.2%/月
40%/年 ⇒ 2.9%/月

となり、わずか0.7%/月の差となります。


繰り返しになりますが、

この差を複利で考えると、

10年後には2倍以上の差に広がるというわけです。


ということは、

これを1日単位で考えると・・・

ほとんど差がない、という状況ですね。


すなわち、

1日単位の積み重ねが複利で効いてくると、

10年後には恐ろしいほどの差が広がっているということ。


だからこそ、

全ての学びや打ち手は、

どんどん前倒ししていかないといけない

ということなのでしょう。


(まとめ)

■年30%成長と年40%成長とでは10%の差しかないが、
10年後には2倍以上の差になる。

■これを月単位で考えた場合には僅か0.7%の差しかなく、
複利の効果というのは具体的に数字で示してみると
イメージしているよりも大きいのではないか。

■このように考えると
日々の積み重ねの効果というのは計り知れないものがあり、
全ての学びと打ち手はどんどん前倒ししていかなければならない。

前回、

「投資する」ことの意味合いについて述べさせて頂きました。

「投資する」とは、

最初にキャッシュが出ていくという意味で、

「痛みを伴う」のと同時に、

「自分の可能性に賭ける」ということ

また、

「自分で自分のケツをける」ということである

ということでした。


今回は、

投資から得られる「リターン」について考えてみたいと思います。


分かりやすいのは、

投資から得られるのは

「収益(金銭)」

ということではないでしょうか?


ファイナンス理論的には、

これで終わりかも知れませんが、

もっと重要なものがあるように思います。


それが「経験」です。

月並みな表現ですが、

体感的には「リターンには経験も含まれる」と思うのです。


「経験」は金銭では換算できません。

しかし、

「経験」には大きな価値があります。


「経験」すれば、

それについて語ることができますし、説得力も増すでしょう。

このような事例や実体験が人の背中を押すことにつながるかも知れません。


また、その「経験」を活かすことが出来れば、

より大きなリターンを生むことにも繋がってくるでしょう。


そのように考えると、

投資することにより得られるリターンには、

直接的な「収益(金銭)」だけではなく、

「経験」という将来の収益の種も含まれると思うわけです。


ということで、

致命傷にならないように、

小さな投資を繰り返して、

「経験」を積み重ねるということも大事である。

そのように考えています。


ちなみに、

孫正義さんは、

「7割の成功率が予見できれば
 事業はやるべきだ。
 5割では低すぎる。
 9割では高すぎる。」

と、仰っていますが、

数々の投資を繰り返して得られた「経験」から、

そのように言えるのでしょう。

そもそも、私のような経験の浅い人間は、

成功率が何割かさえ皆目見当がつかないようにも思います(汗)。


(まとめ)

■投資から得られるリターンには
直接的な収益(金銭)だけでなく、
「経験」という重要なリターンも含まれる。

■「経験」すれば、
第三者に語れるし、強力な事例にもなる。
また、これを活かせば、
より大きなリターンを生むことができるかも知れない。

■そのように考えると、
致命傷にならないような小さな投資を繰り返し、
「経験」という名のリターンを貯蓄すること、
積み重ねることが大事だと思う。

9月のアントレプレナーファイナンスの講義の中で
(神戸大学の忽那教授主催の実践塾) 

「これは重要だな」と

改めて感じたことをシェアしたいと思います。


日本では株式公開の際、

・初値(上場した日の終値)が、

・公開価格(公開会社の資金調達の基準となる価格→主幹事証券会社が投資家の需要の状況等を勘案して決定)

を大きく上回ると

一般的に肯定的に捉えられがちです。


しかし、これは、

公開価格が市場価格(初値)から過少に値付けされてしまったため、

調達される金額が結果として少なくなっていると

解釈することもできるわけです。


つまり、

公開企業に流入するキャッシュが少なくなってしまったという意味で

間接的なコストと位置づけられるのですね。


この間接的コストは

損益計算書に費用として計上されないものなので、

いわゆる

「痛みの感じづらいコスト」

でもあるわけです。

(だからこそ、
コストとして認識されづらい
面があるのだと思います。)


ちなみに、

アメリカではこれを

「テーブルに残してきたお金(Money left on the table)」

と呼んでおり、

コストとしての位置づけが広く認知されています。


公開を目指す企業の経営者や財務担当役員の方々は

公開価格や初値に関わる、

この辺りの背景(コンテクスト)を理解したうえで

IPOを進めることが重要ですね。


(まとめ)

■初値が公開価格を大きく上回ると、日本ではマーケットからの評価が高いと肯定的に捉えられがちであるが、公開企業にとっては間接的なコスト(Money left on the table)にもなっていることを認識する。

■当該コストは、損益計算書に計上されてない費用なので、いわゆる「痛みを感じづらい費用」である。

■公開価格や初値に関わる背景(コンテクスト)を理解することが重要である。

監査委員会報告66号(繰延税金資産の回収可能性)の見直し議論で記載した内容の詳細がASBJのホームページにUPされております。

少し復習を兼ねることになりますが、

案1)66号の内容を引き継がず,例示区分自体を廃止する 
案2)例示区分は用いるが,内容を見直して新たな区分を設定する 
案3)現行の例示区分をそのまま利用,将来の合理的な見積可能期間を見直す

のうち、どれがベターかということが、議論されてます。

これを読んで改めて思いましたのは、

将来の課税所得の見積りという不確実性の高い事象について議論しているわけですから、

どの案を採用するかによって多少の違いはあるものの、どこまでいっても企業間の比較可能性や合法的利益操作の余地は消えないのではないかと思うわけです。

従って、

最も現実的かつ強力な解決策監査員会報告第66号自体を監査のための基準ではなく、

名実ともに企業が遵守すべき会計基準として定めたうえで

◆適用した会社区分(①~⑤のいずれか)
◆その判断に至った経緯(過去の業績推移や繰越欠損金の残高の金額から具体的に)
◆見積った課税所得の年数
◆見積った課税所得の金額


まで開示することにすれば、極めて透明性が高くなり非常に有用な投資情報になりえるでしょう。

企業価値をマルチプル法で簡便的に計算する際、PER(
株価÷一株当たり当期利益)を用いる方が比較的多い現状を考えると、当期利益(最終利益)に多大な影響を与える繰延税金資産の回収可能性の判断に関する透明性を高めることは、本当の意味で重要だと思います。

ただし、企業・監査人双方の反対は必須ですね。
 

本日はアントレプレナーファイナンス実践塾の講義があり、

終了後は、いつものように忽那憲治先生(神戸大学大学院教授)や勉強仲間の経営者の方々と懇親会に行ってきました。

この懇親会に使われたお店が

とろさば料理専門店のSABAR

こちらの代表取締役である右田さん(サバ博士)も次のアントレプレナーファイナンスの受講生(予定)ですが、久々に衝撃を受けたお店であったため、少し感想を。

まず、

ここまで美味しい鯖を堪能したのは生まれて初めてだということ。

普段、このような記事(料理ネタ)をブログにUPすることはないのですが、ここの鯖は一度は食しておくべきです。お酒との相性も抜群(特に日本酒)で、酒飲みにはたまらない、そういうお店です。

次に、

鯖に対するこだわりが半端ないということ。

鯖の品質について申し分ないのは言うまでもありませんが、それ以外の領域でのサバへのこだわりも徹底しており、
  • 代表取締役の右田さんは「サバ博士」である。
  • 年齢は「サバを読んで38歳」(名刺より)である。
  • メニューの数は38種類である。
  • もちろん電話番号も「38」が使用されている。
この他にも「サバ(38)」に対するこだわりは沢山ありました(思い出せないので割愛)。

完全にコンセプト勝ちですね。ここまで徹底すれば競合は皆無に等しいのではないでしょうか。

鯖一本に絞った右田社長の決断力と勇気、そして行動力に感服です。

このお店はクラウドファンディングにより募った資金で運営されていますが、すぐに希望の金額が調達できたようです。

その理由が良く分かりましたね。

百聞は一見に如かず。

 

うちの会社はどの程度の企業価値だろうと推測する場合、手っ取り早いのがマルチプル法です。

マルチプル法とは、類似の上場企業の財務数値を参考に自社の企業価値がいくらかを推測する方法ですが、諸々の書籍等を読んでいると「すごく簡単」等の表現が並んでおり、危うさを感じます。

と言うのも

類似の上場企業の財務数値は当然ながら上場企業が適用すべき会計基準を適用して作成された決算書を基礎にしているわけですが、当該決算書の数字が作成された背景が理解できていないのではないか、と感じることがあるからです。

例えば、PER(株価収益率)一つをとってみても
※ PER=(株価×発行済株式総数)/当期純利益

類似企業の当期純利益がどのような性質の数字となっているか、これをしっかりと把握しておくことが重要で

特に

税金費用、もっと言うと繰延税金資産の回収可能性の方針に大きな変化はないか、ということを必ず確認しておくこと。

これが非常に大事になります。

(国内)企業であれば、税引前利益の35~38%程度が税金費用の金額になるはずで、当該割合から大きくずれている場合には、繰延税金資産の回収可能性に大きな変化が生じている可能性があるため、マルチプル法を採用するのに適切な(類似企業の)当期純利益か否かを疑ってみる必要があるのです。

予想値あるいは実績値のいずれを採用する場合でも、マルチプル法採用のKeyとなる財務指標の性質をしっかりと見極めること。

この辺りも少し意識してみてはいかがでしょうか。

ベンチャー経営者はまず肌感覚で「資本コスト」を理解しようの続きで。

あるベンチャー経営者との話。

「資本コストのファクターには”人情”も含めるべき」

その経営者の方はこれを人情コストと命名されていました。

どういうことかというと

エンジェル(個人の投資家)は
特にアーリーステージにあるような
ベンチャー企業に投資する場合
ファイナンス理論どおりのリターン
である配当や株式価値の上昇
を期待していない。

経営者の人柄、信頼、夢に対する強い想い
を斟酌し、

最後は「この経営者にならこれくらいは出してもええか」

というような感じで出資してくれる。

ここには

ファイナンス理論でいうWACCやCAPM、β値等の
横文字で表せない

”人情コスト”が含まれている、というわけです。

人情コストが資本コストを高くする要因か、
低くする要因かは、大いに議論のあるところですが、

少なくとも

ここには、現状のファイナンス理論では
表せない日本特有(かもしれない)の
ファクターが含まれている

と言えるのではないでしょうか。

もしかしたら、

エンジェルとしては
そのお金はもう返ってこないお金として
認識(覚悟)しているかもしれない。

一方で、当然のことながら

出資を受けた経営者は
その恩義に意地でも応えるために、
そのエンジェルの持分比率を維持するために
何がなんでも事業を成功させる、企業価値を上げるという
強い想いを持つことになるのです。

常識的(ファイナンス理論)には
アーリーステージのベンチャーの
株主が期待するリターン(資本コスト)は
すさまじく大きくなるのですが、

これらを勘案すると

決して資本コストは高いと言えないのかもしれません。

分かりにくい話ですが、
より深く探究するに値するテーマです。
 

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