公認会計士高橋正哉の実践ブログ

企業のビジョン達成を社外CFOの立場から実現する一方で、独立会計士又は上場企業の社外役員として自らも経営の一旦を担う筆者が、会計・財務の専門分野に限らず、日々の活動から、企業経営や自己成長のヒントとなるような事項・想いを素直に、ありのままに、お伝えすることを目的として綴っているブログです。

カテゴリ: 内部統制

権限と責任は一致させることが

組織運営の大原則であると言われたりします。

過去に、

組織の業務改善を実施する中で、

幾度となくお聞きした声は、

「責任は負わされているが
 実質的に権限がない」

というもの。

結局、

経営陣や関係者にお伺いを立てないと何も意思決定できない。

少しでも奇をてらうようなことをすると否定されてしまう。

といった類のことですが、

これって企業の規模に関係なく、

身近なところでも起こっているように思われます。


例えば、

経営陣サイド(上司の立場)からすると、

任せたは良いが、心配で任せきれないというケース。

責任を持って仕事はやれ、と指示するものの、

権限を渡せきれていないというもの。

要は、

仕事を手放せていない状態

ということになるかと思います。

こういうケースは意外と多いのではないでしょうか。

しかし、

「名実ともに権限と責任を一致」

させることなしに

更なる組織力のUPは図れないのではないかと思うわけです。


一方、

従業員サイドの課題としては、

権限(及び責任)があるからと言って「報告」を怠ってしまうケース。

経営者サイド(上司の立場)からすれば、

最終的な責任は経営者(上司)が負うのだから、

権限の有無に関係なく「報告」はきっちりしてもらわないと困るというもの。

(権限を委譲していたとしても、
 万が一、とんでもない意思決定をされた場合、
 それを阻止する権限が
 経営者(上司)には
 あるものと思われる。)


組織内の人数が多くなればなるほど、

色々な思いが交錯しますから、

一筋縄にはいかないのは分かります。


それでも、

組織が「組織としての強みを活かす」ためには

従業員が報連相をきっちり行うことを前提に、

経営者(上司)が権限と責任を手放すという勇気が必要ではないか

そんな風に思います。


(まとめ)

■組織運営の大原則として
「権限と責任を一致させる」というものがある。

■業務改善で必ずといっていいほど、
問題点として取り上げられるのが、
「責任は負っているものの実質的に権限がない」
というもの。

■従業員が報連相を適切にしていない
ケースが多いように思われるが、
経営者サイドとしても「手放す」勇気が必要
と思われる。

■これを乗り越えなければ、
組織としてのレバレッジも
なかなか活かせないのではないか。

【メルマガより抜粋】

前回まで、


不正に関して、

対岸の火事ではなく、意外と身近なものであること

また、

業界の常識は世間の非常識であること

お伝え致しました。


本日はあと一つだけお伝えしたいことがあります。


それは

「矩(のり)を超えない」ということ


身近な例でいくと

出張旅費を実費精算ではなく定額精算している会社があったとします。

その場合、安めのホテルや交通経路を探して出張し、

多少お金を浮かせるということは周りでも良く聞く話です。

(最近は実費精算の会社が多いと思いますが)

これが不正に該当するかというと、

そうではないと思います。


しかし、

これがどんどんエスカレートして

出張してもいないのに出張したことを装い(カラ出張)、

出張旅費と偽って精算していたとしたらどうでしょうか。


これは明らかに不正な行為ですよね。


どこかの議員がカラ出張していて弁明していたニュースは記憶に新しいですが

この議員も最初からカラ出張しまくっていたわけではなく、

どんどんエスカレートしていった結果ではないかと思われるのです


つまり、

どこかの時点で

「矩(のり)を超えてしまった」

と言うことなのでしょう。


この議員を擁護するつもりは全くありませんが、

良識を保つ人とこの議員の違いは、

矩(のり)を超えてしまったか否か、

ということだけ。

これが大きく異なる結果を生むのだと思います。


(まとめ)

不正は、矩(のり)を超えてしまった結果である。

良識を保つ人と不正を犯す人との違いは、矩(のり)を超えるか否かだけ。


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【メルマガより抜粋】

不正は対岸の火事ではないにおいて

新聞やニュースで取沙汰される不正は氷山の一角であり、

意外と身近なものであって、対岸の火事ではない。

そして、

いずれの不正も最初は

小さく小さく小さく小さく始まることを

お伝え致しました。


明るくないテーマですが、本日も少しだけお付き合い頂けると幸いです。


不正(資産横領)の発生要因に関しては、

不正のトライアングル(動機、機会、正当化)というフレームワークで整理できるとされています。

それぞれの内容に関して例示すると

■動機
・売上を上げることに関する過度なプレッシャーが存在している
・人事評価項目の大半が個人の業績に連動している
・過去、人事評価で降格した経験がある
・プライベートなことで急遽まとまったお金が必要になった

■機会
・資金管理を一人で行っている。
・権限のある人が不正しており、チェックが働かない構造である
・長い間、同じ業務を担当しており、新しい目で見られることがない
・内部監査や外部監査でもほとんどチェックされることがない。

■正当化
・業界的に当たり前だし、皆がやっているから、という正当化の理由がある。
これだけ業績UPに対するプレッシャーがきついのだからやむを得ない、という正当化の理由がある。
・これくらい業績に貢献しているのだから少しくらい良いだろう、という正当化の理由がある。

といった辺りになるかと思います。


特に、

注目頂きたいのは「正当化」の個所。


前回もこの辺りについて少し触れさせて頂きましたが、

これが最もやっかいで「根が深い」と個人的には考えています。


業界的に当たり前だし、少しくらい良いだろう・・・
皆がやっているので、ま~良いか・・・

といった思考がとても危険。


少しでも思い当たる節があるのなら、

襟を正す

少し立ち止まって、

自分の心に問い掛けてみる

ということが、

一線を越えるか否かの最も重要なキーワードではないかと思うのですね。


業界の常識は世間の非常識。

私自身も肝に銘じてやっていきたいと思います。

また、明日。


(まとめ)

不正が発生する要因は、不正のトライアングル(動機、機会、正当化)で整理できる。

この中で「正当化」が最も根が深いのではないかと考えている。

業界の常識は世間の非常識、という意識を持って、襟を正すということが大事ではないか。


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【メルマガより抜粋】

本日は「不正」に関して。


決して明るいテーマではないですし、自分には関係ないと思いがちですが、

実際に起きた現場に立ち会ったことがあるものの意見としては、

「意外と身近」、「紙一重」の世界ではないかというもの。


だからこそお伝えしたいことがあります。


突然、自分の大切な家族が難病にかかり生死の境目にいるような状況で、

3日後に3,000万円用意しないといけないとなったら、どうするか?


何が何でもお金を集めようとするのではないでしょうか。

自分が会社のお金を管理できる立場にあったら、

「あとで穴埋めするから一時的に借りてしまおう」

ということが頭をよぎっても、おかしくありません。


私ならよぎります。


そういう意味で我々の生活の中でも100%起こらないと断言することは出来ないのではないか。

対岸の火事ではない。

そのように思うわけです。



前置きが長くなりましたが、

不正という言葉が新聞やニュースで流れない日はありませんね。

それだけ不正な出来事が横行しているわけですが、


ここで認識しておいた方が良いのは、

新聞やニュースで取り上げられる不正に関する事件は、氷山の一角に過ぎないということ。

仕事柄、

企業内での資産横領に関する場面に遭遇することがありますが、

新聞沙汰にまでなるようなことはほとんどありませんでした。


私の感覚では、

10個に1個、いや100個に1個も表面化していないのではないかと思います。

もちろん被害額が小さいからとか、社会的影響が小さいから、という理由で、

表面化しなかったということもあるでしょう。


しかしながら、

共通している点は、いずれののケースでも

最初は、

小さく小さく小さく小さく始まる

ということです。


「これくらいなら良いか~」

「皆がやっているから良いか~」

「あれだけ成果を出しているのだから少しくらい良いだろう~」

「そもそも無理難題を言われているのだから、これくらいはやって当然だろ~。」

これが、最初のきっかけです。


長くなってきたので、続きは明日にさせて頂きます。


(まとめ)

不正は意外と身近な存在であり、対岸の火事ではないというのが率直な印象。

新聞やニュースで取沙汰されている不正は、氷山の一角である。

いずれのケースにおいても、最初は、小さく小さく小さく小さく、始まるものである。 


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大阪府警による犯罪統計の過少申告のニュースが巷を賑わしています。

産経ニュース

読売オンライン

大阪府知事に就任した橋本氏の「ワースト1の汚名返上」の大号令がきっかけで、平成20年以降の5年間、計8万件に渡る件数の過少申告を行ったとのこと。また、大阪府内65署全てで過少申告が行われていたようです。

正直に申し上げて特段の驚きはありませんが、誰よりも襟を正すべき存在である警察でなぜこのようなことが起こるでしょうか。

不正のトライアングルの視点から考えてみると、その原因は明らかではないかと思います。

(不正を犯す要因としての)不正のトライアングルには

❑不正を犯す動機の存在
❑不正を犯す機会の存在
❑不正を正当化する理由

がありますが、順番に仮説を立ててみるとすれば、

まず動機として

ワースト1の汚名返上という大号令⇒実態と大きく乖離した目標の設定⇒署員に過度のプレッシャー

という流れが考えられ、これに人事評価まで密接に関連するとなると、過少申告するための動機としては十分ではないかと思います。

次に機会ですが、

犯罪件数の報告内容の正確性に対するチェック機能がなかった、あるいは、存在していたとしても全く機能していなかった、ということが言えるのではないかと思います。(報告件数の集計だけの話なので、「機会」については、個人的に重要性はないものと考えています。)

最後に正当化

これが最も重要かつ根が深い

つまり、

他の皆もやっている、他の署もやっているので、我々も過少申告しても良いだろう
実態と大きく乖離した目標(ワーストワンの汚名返上)を達成するためには、やむを得ない


といった、当事者の行為を「正当化」する十分な理由があったと思うわけです。

言い換えれば

赤信号、皆で渡れば怖くない

といった感覚なのでしょう。

業界の常識は世間の非常識

少し立ち止まって自問自答してみる、自分の本心に問い掛けてみる

ということが重要で、これをしていれば、

「矩(のり)を超えずに済む」のではないでしょうか。

率直に申し上げて、

世間からの信用残高を著しく毀損してしまった(上層部の方の)責任は重い

そのように思います。

あなたの会社では内部統制(J-SOX)をどのような体制で構築しているでしょうか?

 

内部監査担当者等の特定の人が現場の協力も思うように得られないまま孤立した状況でせっせと評価ツール(業務記述書、フローチャート、RCM)を作成しているという状況になっていないでしょうか?

 

多くの上場企業で陥っている(であろう)内部統制(J-SOX)の形骸化を少しでも防止するためには、ある程度、現場も巻き込んだ業務フロー/内部統制の構築プロセスを経ることが極めて重要であり、

 

現場の方々も当事者として業務フローの構築に参画してもらうことにより、当事者としてその後の運用にも責任を持って取り組めるというもの。

 

現場の実務を熟知していない本社の担当者が(言葉はきついですが)独りよがりで作成した業務フロー(内部統制)に、誰が従うでしょうか?

 

皆で作り上げる意識が最も重要で、徹底的に議論するプロセスこそが、本当に価値あるものだと思うのです。

 

もちろん、IPOを目指す企業にそんな人的資源の余裕や時間はないこともわかっていますが、

 

「とりあえず作成して惰性で内部統制報告を続けるのか」、それとも、「内部統制構築前に徹底した議論を重ねるのか」によって、その後の費用対効果が大きく異なってくるはず。

 

簡単ではありませんが、そのような意識で取り組む、そのような努力をすることが大事だと思います。

 

本気で取り組んだものでないと、その後のPDCAをきっちり回そうという気持ちにもならないはずです。

以前、

IPOを目指す企業にとって朗報!?(J-SOX監査の免除)
内部統制「監査」の免除 新規上場(IPO)から3年間

において、新規上場後3年間は
内部統制監査が免除されたことを
お伝えしました。 

これらの記事で申し上げたかったことは、

内部統制監査が免除されるだけで、
会社としては内部統制を評価し報告することが
必要
であり、

これが改正金融商品取引法の趣旨である
新規株式公開(IPO)を後押しするのか、

ということ。

これに関して、

実務面から仮説・検証してみたいと思います。

まず、IPO企業のメリットとしては
監査が免除されることにより、表面的には

◇見えるコスト削減効果⇒監査報酬の削減(※)
◇見えないコスト削減効果⇒監査対応時間の削減


(※)内部統制監査の監査報酬全体に占める割合は決して大きくないため、そこまでの削減効果は期待できないことに注意。

の2つが期待できます。

一方で、

監査人の立場からの思考としては

  1. 財務諸表監査は会社の内部統制が有効であることを前提に成り立っているため、内部統制監査が免除されるといっても、監査法人が内部統制の有効性を検証しないということはない
  2. 内部統制監査の責任を負わないとはいえ、会社側が「内部統制は非有効」と結論付けてしまうと、財務諸表監査の前提が崩れるため、会社側の独断で意見表明(内部統制が非有効)することは現実問題として難しい(短信は監査対象ではないが、実質的に監査法人のチェックを受けるのと似たような議論)。
  3. いずれにしても、新規上場後4年目以降は内部統制監査が必要になるのだから、なるべく監査側の作業をスムーズに行うためにも、1~3年目までの間にアドバイザリー契約を締結して、評価方法や体制等を指導しておきたい
といったところがあると考えられ、

上述の(表面的な)IPO企業のメリットである

◇見えるコスト削減効果⇒監査報酬の削減
◇見えないコスト削減効果⇒監査対応時間の削減

は容易に達成できるも思えず、

こられを勘案すると、

そもそも

内部統制監査の免除が新規公開株式(IPO)を後押しするのか
という疑問に行き着く
わけです。

とは言え、

これを肯定的に捉えるとするならば、

本当に実務に即して身の丈に合った内部統制を
構築するための猶予期間が新規上場後3年間はある


ということ。

つまり、

多くの上場会社が陥っている(であろう)

内部統制を評価すること自体が目的化し、
その前提としてのチェック体制の充実・強化
というJ-SOX本来の目的が軽視
されている

という状態にならないように対策を講じることができる

ということだと思うのです。

特に多くのIPO企業で大きな負担となっている(と思われる)
決算業務や開示資料の作成といった上場経理実務の
仕組化・テンプレート化を進めるために必要な時間(3年間)

と捉えることができるのではないでしょうか。

ご興味ある方は
内部統制制度(J-SOX)の失敗を 繰り返したくない企業様へ
も参照下さい。
 

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