公認会計士高橋正哉の実践ブログ

企業のビジョン達成を社外CFOの立場から実現する一方で、独立会計士又は上場企業の社外役員として自らも経営の一旦を担う筆者が、会計・財務の専門分野に限らず、日々の活動から、企業経営や自己成長のヒントとなるような事項・想いを素直に、ありのままに、お伝えすることを目的として綴っているブログです。

カテゴリ: 上場企業

監査法人トーマツの記事(2014年8月18日)より

国内植物工場を取り巻く現状と今後の展望 

植物工場の事業者数は、2009の農地法改正、および経済産業省、農林水産省による植物工場普及・拡大総合対策事業をきっかけにして、2013年には177戸となり、特に製造業などの異業種からの新規参入が増えている
その背景には、「技術(栽培、設備)の進歩」、「生産管理手法の確立」、「コスト(栽培施設、設備などのイニシャルコスト、光熱費、人件費、物流コストなどのランニングコスト)削減」により、農業関連以外の事業者が参入する土壌が整ってきたといえる。
 

 (中略)
 

3次ブーム(⇒2009年以降)に入り、国や地公体の補助金などを利用して、オランダ等の施設園芸先進国等の技術事例などを積極的に取り込むことにより、植物工場での栽培技術や生産管理手法は飛躍的に進歩した。それと同時に異業種の参入が相次ぎ農業分野からの参入では解決が困難であった課題が徐々に解決され、最近ようやく普及ステージへの扉が開かれた。
 

 (中略)
 

2025には野菜自体の生産だけでなく、生産するための設備・プラントも含めると6,700億円の市場規模が予想され、一大産業が形成されつつある。


以前、植物工場事業に参入する際の事業性評価の支援をさせて頂いたことがありますので、私にとって関心のある事項の一つになっています。

一見すると、多くのシナジーが期待できないような(上場)企業であっても、植物工場事業への参入が増加しており、その思惑は多岐に渡るにせよ、皆、異分野との融合から生み出されると期待する価値に投資を行っているわけですね。

特に、上場企業の場合は、投資家や銀行等の様々な利害関係者に対する説明責任が発生しますし、ノウハウがない分野への進出ですから、他企業とのパートナーシップも欠かせません。

相当な社内外の調整が発生することになりますが、それでも生き残っていくためには、挑戦が欠かせない時代になっているということだと思います。

我々個人事業者もその姿勢は見習うことが必要です。

 

経産省から2014年6月30日付で「社外役員を含む非業務執行役員の役割・サポート体制等に関する中間取りまとめ」及び「社外役員等に関するガイドライン」が公表されています。

<中間とりまとめ>

(1)
社外役員等に期待される役割と企業のサポート体制に関し、実務上の参考となるよう、我が国企業のベスト・プラクティスを広く集め、具体的かつ包括的な姿を明らかにしました。

(2)
社外取締役のプラクティスとして、その幅広い活躍の実態を明らかにしました。すなわち、企業経営に関し、不祥事などマイナス面を防いだ事例もあれば、戦略的な投資判断などプラスに伸ばす判断を後押しした事例もありました。さらに、人事・報酬への関与についても具体的な事例を紹介しています。また、各事例では、社外取締役が、経営陣にアドバイスを与えるという形もあれば、経営陣に対するモニタリング機能を発揮している(チェックをし、是非を判断する)形もあることを示しています。したがって、社外取締役の役割は、法令上は、簡潔に「監督」と表されますが、現場の実態としては、様々な活躍が見られることを示しています

(3)
このような、社外取締役の、様々なありうる役割のうち、どれが重要で、どれを選択するか、したがってどのような人選を行うべきかは、企業の性質や経営戦略によって異なります
そこで、本中間取りまとめでは、社外取締役を導入した企業にも、導入の考え方や期待する役割について、積極的な情報発信を呼び掛けています(いわば「コンプライ・アンド・エクスプレイン」)。

(4)
さらに本中間取りまとめは、社外取締役と並んで、非業務執行役員として重要な監査役の役割にも光を当てています。ここでは、監査役が経営陣の行う経営判断について、違法性のチェックのみならず、妥当性のチェックも行い活躍している事例、法的権限を実際に行使している事例も紹介しており、監査役が、幅広く活躍し、実効性を発揮している事例があることを示しています

(5)
社外役員等に対する企業のサポート体制として、社外役員等をサポートするスタッフや活動資金の重要性はもちろんですが、(社外役員等は社内出身者に比して社内情報や社内人脈が少ないことから、)社外役員等への情報提供や、(“外部者”でも発言・貢献がしやすくなるような)取締役会のセッティング・社外役員同士の連携が重要であることを示しています。

<ガイドライン>

(6)
本中間取りまとめは、社外役員等に関するベストプラクティスとそこから得られる示唆をまとめた性格を持ちますが、実務において広く読まれ、活用いただけるよう、本中間取りまとめのサマリーを、「社外役員等に関するガイドライン」と題して、同時に取りまとめました。本ガイドラインは、本中間とりまとめに記載の示唆、つまり、社外役員等の導入・活用に際して考慮すべき事項のみを抜粋して記載しており、
①社外役員をはじめ非業務執行役員自身が職務を執行する際、
②企業、特に経営者が社外取締役の選任を検討する際、
③企業が、既に導入している又はこれから導入しようとする社外役員等の活用を検討する際、
などに手軽に参照され、各社が自社にふさわしい実効的なコーポレート・ガバナンス・システムを構築するためのツールとなることが期待されます。

ガイドラインは抽象的な記載に留まるので、イメージを掴むにあたっては、本文(社外役員を含む非業務執行役員の役割・サポート体制等に関する中間取りまとめ)を読むことをお勧めします。ページ数は53ページですが、比較的読みやすいので、短時間で目を通せます。

本文のP.7「1.3 中間とりまとめ方針」で以下のとおり記載されています。

なお、コーポレート・ガバナンスは、本来、各企業が自主的に取り組み、多様性が尊重されるべきものであって、過度に一律なルールを押しつけることになれば、企業が創意工夫を行わず、むしろ逆効果にもなりかねない

このため、中間取りまとめは、コーポレート・ガバナンスの向上に向けて意欲的に取り組む企業・社外役員を含む非業務執行役員のプラクティスをもとに、各企業・非業務執行役員が自主的な取組をする上で留意すべき事項をまとめたものとする。

本当にそう思いますね。社外取締役の設置義務化の議論も同様だと思います。
 

会社法改正法案が6月20日に参議院本会議で可決、成立しています。
会社法改正法案については種々の解説記事等が出ておりますが、特に気になる社外取締役の設置に関して私見を交えて記載したいと思います。

以下、経営財務3169号(2014年6月30日)等を参考に記載

今回の改正では
  • 監査等委員会設置会社制度の創設
  • 社外取締役を置くことが相当でない理由の開示義務付け
  • 社外取締役等の要件等の厳格化
  • 会計監査人の選解任等に関する議案内容決定権の監査役への付与
  • 多重代表訴訟制度の創設
  • 株主による組織再編等の差止請求制度の拡充
等が図られています。一部規定には経過措置があるようですが、改正法の規定が適用されるのは、3月決算会社であれば、平成27年6月の定時株主総会となりそうです。

この中で多くの上場会社にとって緊急性の高い課題であるのが「社外取締役を置くことが相当でない理由の開示義務付け」でしょう。

これを受け、3月決算会社をはじめ平成26年6月の定時株主総会において前倒しで社外取締役の選任が相次いでいます。

東証上場会社における社外取締役の選任状況について(東証プレスリリース 2014年6月17日)によると、全上場会社3,408社のうち、社外取締役を選任している会社の数は2,194社前年と比較して354社の増加)で64.4%前年と比較して10.2ポイント上昇)にまでなっているようです。

来年が増加のピークになると思われ、それを過ぎてしまうと「社外取締役の人選を慎重に進めた結果間に合わなかった」などの説明もしづらくなってしまいます。

なお、「社外取締役を置くことが相当でない理由」は

第327条の2 事業年度の末日において、・・・社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければばらない

とされていますので、当年度に係る定時株主総会で社外取締役を選任する予定であったとしても、前年度に係る定時株主総会で社外取締役を選任しなかった理由は説明しなければならないようですね。

それから、2年後には社外取締役設置の義務化を検討するそうですが、そもそも社外取締役の設置によってコーポレートガバナンスの強化という目的が本当に達成できるのか実質的に機能するのか、というのは深い議論が必要ではないかと個人的には思っています。監督機能の強化が社外取締役に課された第一命題なのかも知れませんが、経営的な助言(現経営陣の経営観や思考の枠外の意見)を述べてもらい、現経営陣もそれを積極的に受け入れてみる、そして競争力の強化につながる、という循環がないと、監督機能の強化という締め付けだけでは、なかなか機能しないのではないかと思います。

その他、参考ですが

役員賠償責任保険 「社外」狙い損保が強化 経営者への株主の目厳しく(SankeiBizより)

のとおり、保険会社もここは事業機会とみて積極的に動いているようですね。

PCAが平成26年3月期の連結財務諸表にIFRSを自主適用(監査は受けていない)しました。

平成26年3月期(第34期)国際財務報告基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の自主適用について

当社は、平成263月期(第34期)の連結財務諸表について、国際財務報告基準(IFRS)を自主適用し、自社ホームページにて開示いたしましたので、お知らせいたします。

当社は会計ソフトの開発及び販売を行っており、IFRSの対応に向けて会計ソフトの開発を行っております。そこで、自社でもIFRS連結財務諸表を作成することにより、会計ソフトでの対応が必要な点を確認し、今後のソフト開発に役立てることを目的としてIFRS連結財務諸表の作成及び自主開示をすることといたしました。

なお、当該連結財務諸表は自主開示目的で作成したものであり、法令等に基づく開示書類については、今後も日本基準に基づき作成いたします。


なお、平成26年3月期だけでなく、ずいぶん前(平成22年3月期)の年度の分もIFRSを自主適用しているようです。

平成22年3月期~平成25年3月期のIFRS自主適用 

知りませんでした。

どうせなら、IFRSの任意適用(監査を受ける)という形をとった方が、認知されやすいので、ビジネス的にも良いのではないでしょうか。

そーせいグループ株式会社が平成26年6月25日付でIFRSによる有価証券報告書と決算短信(2013.5.13に日本基準のものは一旦開示済)を開示しました。

有価証券報告書(IFRS)
決算短信(IFRS)
国際会計基準 (IFRS) の任意適用関に関する2014 年3月期 決算補足説明資料

日本基準からIFRSへの移行により、組替修正はいくつかあるものの、のれんと開発費の資産計上が組替修正金額のほとんどを占めており、面白いくらい業績が変わっています。

日本基準では

売上高    20億円
当期利益  △1億円

に対して、IFRSでは

売上高    20億円
当期利益   15億円

これほど違うのであれば、マネジメントの立場からはIFRSを適用するというのも頷けますね。

前置きはこれくらいにして、

IFRS導入に携わっている立場から気になった点をいくつか挙げてみましょう。

❑IFRS開示の全体像を把握するためには最適なモデルケースではないか。
現在までにIFRSを任意適用している企業は、規模が大きく(かつ複雑な取引も多い)ため、有価証券報告書が複雑かつ大分量になりがちで、なかなかIFRSの開示に関する全体像を把握するのが難しいというのが正直なところではないでしょうか。しかし、そーせいグループはビジネスがシンプルかつ規模も小さいため、同社の有報はIFRSの開示の全体像を把握するのに最適ではないかと思います。

❑有価証券報告書の分量の増加
2013年3月期の連結財務諸表(日本基準)では17ページの分量だったのに対して、2014年3月期の連結財務諸表(IFRS)では35ページの分量と、およそ2倍になっています。規模が小さいとはいえ、IFRSでは会計方針の記載など定性的な箇所の文章がどうしても多くなってしまうので、この辺りはやむを得ないですね。

❑監査報酬等の増加具合
同社は従業員が30人程度であり、経理関係の社内リソースは決して多くないと思われ、監査法人等の外部にある程度リソースを求めざるを得ないと推測しますが、監査報酬は24百万円から41百万円と17百万円の増加で、被監査業務(IFRS)の報酬は6百万円と、実質23百万円のコスト増で乗り切っています。※ 監査法人以外の外部コンサルが入っているかも知れませんが、それは不明。

上記のほかで気になったのは

のれん減損の感応度分析がなされていないと思われること

回収可能価額がのれんの簿価を大きく上回っているなどの状況のため「重要性なし」と判断されているのかもしれませんが、のれんの償却(日本基準)⇒非償却(IFRS)により、ここまで業績が変わるのですから、

投資家にとって有報な情報を提供するという意味でも

開示して欲しかった事項ですね。

平成26年6月24日、「日本再興戦略」改定2014が閣議決定されました。

詳しくは首相官邸websiteより

「新たに講じる施策」のうち、当ブログのテーマ(上場企業、会計・税務、ベンチャー等)に関連する内容は以下のとおり。
1.コーポレートガバナンスの強化等

「コーポレートガバナンス・コード」の策定

❑東京証券取引所が上場企業のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」(※) を策定することを支援 【2015年半ば(株主総会シーズン)までに策定

 (※)コーポレートガバナンス(企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み)に関する基本的な考え方を諸原則の形でまとめたもの。 東証の上場規則により、原則を実施するか、実施しない場合にはその理由の説明を求める

●金融機関等による企業に対する経営支援・事業再生の促進

❑融資先の経営改善・生産性向上・体質強化支援等の取組や事業性を重視した融資を金融庁の監督方針等により促す。

❑企業再生に関する法制度や実務運用の在り方の見直し 

  
3.ベンチャー・創業の加速化

●「ベンチャー創造協議会(仮称)」の創設

❑ベンチャー企業と大企業のマッチングを促すため、「ベンチャー創造協議会(仮称)」を創設  【2014年秋目途に創設】 

●政府調達におけるベンチャー企業の参入促進等の支援

❑官公需法を見直し、創業間もない中小ベンチャー企業の政府調達への参入促進 【本年度中を目途に諸制度を整備】

❑創業に伴う生活の不安定化の懸念の解消(求職活動中に創業の準備・検討を行う者に対する雇用保険給付の取扱の明確化) 【速やかに実施】 


4.成長志向型の法人税改革


❑数年で法人実効税率を20パーセント台まで引き下げることを目指す。

❑引下げは、2015年度から開始

❑アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含めて、2020年度のPB黒字化目標との整合性を確保するよう、課税ベースの拡大等による恒久財源を確保。 【年末に向けて議論を進め、具体案を得る

❑実施に当たっては、2020年度の国・地方を通じたPBの黒字化目標達成の必要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。
 

6.女性の活躍推進

有価証券報告書における役員の女性比率の記載を義務付け2014年度内に実施

コーポレート・ガバナンスに関する報告書に、役員、管理職への女性登用状況や登用促進に向けた取組を記載するよう各金融商品取引所に要請2014年度内に実施】  

法人実効税率の引き下げに伴う、恒久財源の確保については、年末に向けて具体案を策定ということなので、ここは注視ですね。



2014年6月16日 3167号 経営財務より

将来のIFRS適用を見据え,決算日を変更してグループ内の決算日を統一しようとする事例が散見される。本誌が上場会社の適時開示書類を調査したところ,IFRS対応を理由とする決算日変更を適時開示した会社は,20092014年の間に24社あった(6月11日時点。連結子会社のみの変更は除く)。「海外連結子会社と統一する」等の理由により,24社中19社が12月期に変更している。IFRS任意適用についても適時開示済みの会社は24社中1社(クックパッド)だった。

決算日変更の理由として適時開示書類に「IFRS対応」を明確に記載している会社だけで24社(2009年~2014年)あったというもの。

逆に捉えると適時開示書類には「IFRS対応」を記載していないが、将来にIFRSを適用することも見据えて決算日を変更している会社はさらに存在する、ということになります。

決算期変更を予定している企業等の網羅的な情報はこちらより
(【一覧】決算期の変更を予定している会社(平成26年2月調査)~新日本監査法人より~)

なお、平成26年4月以降では、クラレなども決算期変更を公表しています。 

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