公認会計士高橋正哉の実践ブログ

企業のビジョン達成を社外CFOの立場から実現する一方で、独立会計士又は上場企業の社外役員として自らも経営の一旦を担う筆者が、会計・財務の専門分野に限らず、日々の活動から、企業経営や自己成長のヒントとなるような事項・想いを素直に、ありのままに、お伝えすることを目的として綴っているブログです。

カテゴリ: 監査

ご存じの方も多いかもしれませんが、

「雇用の未来」について書いている、

英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の

論文がネット上で話題になっているようです。

例えば、このヤフーニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141109-00040925-gendaibiz-bus_all&p=1

この論文は、

「コンピューター化によって仕事は失われるのか」

というテーマで記載されているようであり、

その中でも、

今後、無くなる可能性が高い(90%以上)仕事・職業として

挙げられているものが特に衝撃を生んでいるようですね。


私の仕事の周辺で関連のあるものを上げると、

●銀行の融資担当者
●保険の審査担当者
●給与・福利厚生担当者
●パラリーガル・弁護士助手
●税務申告書代行者
●データ入力作業員
●簿記、会計、監査の事務員

というところでしょうか。


これらの共通項を挙げるとすれば、

いずれもルール化されたものを、

こなす業務ということが言えるかと思います。

言い換えれば、

高度な判断や創造性を要しないということになるのでしょう。


上記で

「監査の事務員」が消える職業として挙げられていますが、

私の感想では、

事務員ではなく監査する人(監査要員=公認会計士)も

その危機感は持っておいた方が良いと思います。

※ 会計監査は公認会計士の独占業務

なぜなら、

会計監査の現場で、

全ての会計士が高度な判断が
要求され続けているわけではないからです



というわけで、

自分が今している仕事が

ロボットにとって変わられることはないか?

創造性のあるものか?

高度な判断を要するものか?

このような発想で今現在の居場所を

考え続けることが必要なのかもしれません。


あるいは、

仮にある程度ルール化された仕事であっても、

そこに、

「創造性を加える」
「改善し続ける」

ということを意識していくことが必要なのでしょう。

自戒を込めて。


(まとめ)
■消える職業・仕事として話題を呼んでいる
オズボーン氏の論文から学ぶべきことは何か。

■今現在自分がしている仕事は
未来永劫、安泰というわけではなく、
ロボットに取って変わられる可能性もある
という観点から見ておくのが良いのではないか。

■少なくとも、
ルール化されたものを単にこなすだけではなく、
改善し続ける意識や、仕組みやルールを作るなど
創造性を加えるという意識が大事ではないか。

先日、

公認会計士が独占業務としている会計監査には、

他の場面でも応用可能な考え方があるのですよ、

ということをお伝え致しました。


その代表的なものが、

「リスクアプローチ」という考え方。


簡単に申し上げますと

これは

全体を俯瞰して、リスクの大小を見極め、

リスクの大きい点については、より多くの資源を投入し、

リスクの小さい点については、少しの資源しか投入しない、

あるいは、全く資源を投入しない、といったことを

判断するための体系的な監査のフレームワークです。


分かりやすくいうなら、

「森を見て木を見る」ための考え方、という感じですね。


極端な話、

売上高が数千億円もあるような上場企業を監査する場合、

全ての会計処理を監査していたら、

その上場企業が抱える経理人員が要した時間と

同じだけの監査人員(時間)を要することにもなりかねません。


そんなことをしていたら、

監査報酬が膨大な金額になりますし、

そもそも、

そんなにたくさんの監査要員(公認会計士)を配置することは

物理的に不可能です。。。


このような背景から、

自然発生的に生み出されたのが、

リスクアプローチというわけであります。

(訴訟対策という話もありますが、
 今回のお話の趣旨はそこにはありませんので
 置いておきます。)


私の感覚としては、

監査法人に5~7年程度勤め、

インチャージと呼ばれる監査現場を取り仕切る立場を経験していれば、

この能力はだいぶと身に付くのではないかと思います。


この「森を見て木を見る」感覚は、

軸足を監査から移した今でも色々な場面で重宝しています。


私自身、出来ているとは口が裂けても言えませんが、、、

意識している事として、

・ゴールを見据え、
・全体を俯瞰して、
・逆算思考で、
・今現在何が必要かを考え、
・限られたリソースを配分し
・行動する

といったところは、

リスクアプローチの考え方をベースにしています。


意識していないと、

「木」ばっかりをみてしまっている時がありますよね。

そのような時に

リスクアプローチの考え方に立ち返ると

違ったものが見えることもあります。

そういう意味で、

ぜひご活用頂きたい考え方です。


(まとめ)

■公認会計士が行う会計監査業務の中で
リスクアプローチという監査のフレームワークがある。

■リスクアプローチは限られた監査資源を使って、
効率的に監査を行うためのフレームワークであり、
「森を見て木を見る」的な考え方である。

■「森を見て木を見る」的な考え方は
監査以外の場面でも応用可能であり、
今でも重宝している。

■油断すると「木」ばかり見てしまうことがあり、
そんな時はリスクアプローチの考え方に立ち返ると
違った見え方になることがある。

あなた(若手会計士でインチャージを持って2~3年の方)はクライアント(被監査会社)とどのような関係を築いておられるでしょうか?

私は7年半程大手監査法人で勤め、その後(3年半程度)は企業側の一員のような立場でコンサルティングに没頭してきました。

本日は「監査法人がクライアント(被監査会社)と良い関係を築くためには」どのような事を意識するべきなのか、思うところを少しだけ綴ってみます。

まず、最初に監査法人内の事情として、

私が大手監査法人を退職したのは2010年の暮れで7年半の在籍の間にも、めまぐるしく監査法人内の組織化や監査に関するルールが厳格化していきました。退職する時には「厳格化の波も概ね落ち着いたのではないか」と思っていたのですが、その後もさらに厳しさを増しているようです。

そのような状況の中、

「クライアントからの信頼を得るため・・・」とか、「クライアントに貢献するために・・・」という雰囲気は影を潜め、「監査法人内のルールに乗っ取った監査をしっかりやっているか」ということが価値観の柱になっていったと思います。

また、

会計士と言えども監査法人内ではサラリーマンであり、組織の一員であるのですから、この価値観の波に逆らうことは、つまりサラリーマンとしての自らの将来をある意味断つことでもあるわけです。

これらに加え、

監査責任者だけでなく監査担当者のローテンションも行なわれるようになり、これ自体は組織体として決して悪いことではないのですが、担当者レベルでは「クライアントに貢献する」という意識の低下を助長させているのではないか、と思ったりします。

これらを総合的に勘案すると、全体的な傾向として外向き(クライアント向き)ではなく、内向き(監査法人内部向き)の価値観がこの10年で特に醸成されていった

そのように考えています。

このような環境下ではあったものの、

私自身は幸い直属の上司から「クライアントのために」という絶対的な価値観を叩き込まれていたため、この「内向きの」価値観の波にそれほど埋もれることなく、比較的柔軟に対応できていたのではないかと、(ほんの少しだけ)自負していますが・・・、

すごく意識していたのは
(出来ていたか出来ていないかは、少しだけ横に置いておいて)

クライアントの立場に完全に立つのは無理でも、できるだけ立とうとしているか、そのうえで発言しているか、

ということ

決して監査人としての独立性を害しろ、公平性を害しろ、監査をあまくしろ、なんてことは全く言うつもりはありませんし、クライアント自身がもっとちゃんとするべきだ、という意見もあるのは十分に分かっているつもりですが、

監査法人という看板の前に、一人の会計士として
会計士である前に、一人のビジネスマンとして
一人のビジネスマンである前に、一人の人間として


できるだけ相手の立場に立とうとしているか、

監査法人がクライアント(被監査会社)と良い関係を築くための本質として

この姿勢が問われている、

そんな風に思います。

愛読している会計ニュース・コレクターさんより

EU会計監査人の強制ローテーション制度が交付されたようです。

内容は以前に記載した

EU 会計監査人(監査法人)の強制ローテーション① 

のとおりで、EU会計監査人は10年ごとに交代となり、非監査業務の提供も厳しくなる模様。

米国では監査人の強制ローテーションの話は進んでいないようなので、日本(の法律上)も、強制ローテーションが導入されることはないと思いますが、外観的・客観的独立性を害するようなサービス(非監査業務)の監査クライアントへの提供は禁止、というのが世界的な流れであることは間違いないでしょう。

元々、SEC適用企業などの米国上場企業は監査クライアントへの非監査業務の同時提供を(エンロン事件以降)非常に厳しく制限しているという印象ですが、今回のEUでの取扱いを受けて日本での被監査業務の同時提供が従来と比較して厳しくなる可能性はありますね。

私が愛読している「会計ニュース・コレクター」さんの
EU、監査人の強制的ローテーション・ルール成立の記事より (こちらが元ネタ )

【以下、ポイント要約】
欧州議会が上場会社に最長10年ごとに監査人を交代させることを求める新しい規則を制定。
❑監査契約を入札にかけた場合にはさらに10年延長可能。共同監査の場合は14年延長。
⇒米国は反対しているため、おそらく日本も強制ローテーションに踏み切ることはないだろう。
❑監査報告書には、重要な虚偽表示リスクの最大級のものについての監査人の評価、それらのリスクへの監査人の対応の概要、それらリスクに関する主要な観察事項を記載。
❑非監査業務の制限も厳しくなり、税務助言業務、財務・投資コンサルティングなどを監査対象会社に提供することは禁止 

強制ローテーションについて・・・

「EU、とうとうやったか~」というのが率直な感想。

果たして会計監査人(監査法人)の強制ローテーションが 監査の透明性を高めることになるのか。
あるいは、粉飾決算や不正を見抜ける一助となるのか。

様々な意見があるでしょう。

私の意見は、

「そうじゃないねんな~、本質はそこじゃないのにな~」

というものです。

利害関係会社が多数集まった政治的な駆け引きの中で決まったことだとは推測しますが、

現場で会計監査人という立場でクライアントのため、ひいては投資家のために、最後の砦として、
また、監査業務に誇りを持ち、クライアントに対する愛と責任感で業務を遂行している公認会計士なら、この決定は残念でならないはず。

表現が適切ではありませんが・・・

「愛情を注いで育てた子供と10年間で強制的にさようなら」するのと少し似ている気がします。

強制ローテーションの導入は深度のある監査業務や効率的な監査業務の遂行を妨げ、会計監査人とクライアントのコスト(目に見えないコストを含む)を増大させることになり、企業価値の低下ひいては投資家自身の損失にもつながるということを忘れてはならないと思うのです。

もちろん、馴れ合いから粉飾決算に対して適切な監査対応が取られなかった事例もあるでしょう。

しかし、クライアントに対する愛と責任感で業務を遂行している監査人であれば、その信念や監査意見は、監査契約年数の長さに決して左右されるものではない、そう断言できます。


少なくとも自分はそうありたい。














 

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